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−−『インドシナ』以来のドヌーヴとの仕事はいかがでしたか?
「当初の脚本が変わっていく間も、私はいつもカトリーヌのことが頭にありました。中央アジアでのウエスタンの話を断念するということも、二人で決めました。もちろん互いに、いささか残念という気持ちはぬぐえませんでしたけれど、それで終わるつもりはなかったのです。こうして、私が新しい企画に参加しないかと声をかけてみると、彼女は役が気に入れば引き受けたいという返事をくれました。その時から、私は彼女の役を真剣に書き始めたのです。素晴らしい名声を持つ女優でなければいけない、出てきただけで有無を言わせないような。それをカトリーヌが演じてくれたのです。いい意味での過剰さ、毅然たる態度、にじみ出る威厳を持って。彼女が撮影現場で息づくのを見ると、彼女が自分の家族に囲まれて歩き回っているかのような印象を受けます。彼女はひとりひとりを忘れることなく、誰の仕事に対しても敬意を払うのです。私たちは自然と『インドシナ』で歩んだ道を、再び歩くことになりました。お互いの意見の交換、信頼、率直さから生まれた仕事の“メソッド”を使いながら。決して、投げやりになることも、しらけることもなく、カトリーヌは最も素晴らしい自分自身を役に投入します。カトリーヌは映画を愛しているのです。映画の現場を、シーンの準備を、リハーサルを愛しています。指示や指導には細心の注意を払い、それを自分の中から湧き出る演技にと、いつも務めています。けれど、いったんカメラが回りだすと、彼女はそれらすべてをまったく“忘れる”のです。彼女には不可能なことは何もないということを見せてくれます。『イースト/ウエスト』の撮影で彼女が最も喜んだのは、サンドリーヌ、オレグ、セルゲイという新しい共演者と出会ったことだったのではないでしょうか。そして私が心から嬉しかったのは、カトリーヌの監督への敬意です。彼女の作品に対する熱意は、やはりあの時のまま、何も変わっていないことを知りました。彼女と再び仕事をすることは、女優から演技を引き出す喜びを、またも私に味わわせてくれることになりました」
−−これはあなたの最も野心的な作品だと言ってもいいでしょうか?
「ある意味では、そうです。『インドシナ』もとても野心的な作品でしたが、むしろ、あれはプロデューサーと共有した夢を実現したものといえるでしょう。しかし『イースト/ウエスト』は私がひとりで立ち上げた作品です。この映画に注いだ野心は、私たちが冒したリスクに相応します。あれほど厳しい条件で撮影をし、まさに越えられないような障害や人身事故に直面すると、“どうしてこの連中はぞろぞろと私の後をついて来るのだろう、私のことなどろくろく知りもしないのに”と呟かずにはいられないことが何日もあるわけです。これは私にとって、映画作りを楽しむことが一番少なかった作品といえるでしょう。闘わなければいけないことがあまりに多かったからです。しかし、それでも映画というものには何か奇跡的なものが秘められていて、それが撮影を続行させ、誰も離れることはありませんでした。今、私がこの完成した映画を見ると、注ぎ込まれたエネルギーすべてがスクリーンの上にそのまま表われているという印象を受けるのです」
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