−−あなたは『インドシナ』の共同脚本家のひとりであり、レジス・ヴァルニエについてもよく知っていると思いますが、仕事上の彼との関係について話していただけますか?

「私たちは似ているところがありません。私はいつも角張ったものを丸くしようとするのに対し、彼は角を尖らせように磨きをかけます。乱闘や、相手に突っかかっていくのが好きな映画作家です。けれど、極めて知性があり、愉快な人間でもあります。私は彼のロマンティックな情感、情熱を高く評価しています。仕事の上では、すべてをさらけ出して喋りあいます。お互い作家が持つ尊大な自尊心をひけらかそうなどとは夢にも思わないからです。けれど一方で、私を乱闘に持ち込むことなどできないでしょう。私は乱闘騒ぎなど大嫌いだからです。脚本家であることは、編集者の仕事同様、少し気に入っているのですが、それは“他の連中の手助けをする”というやり方に共通するものがあるからだと思っています」

−−『インドシナ』と『イースト/ウエスト』には共通したテーマがあると思いますか?

「レジスが『イースト/ウエスト』の仕事を依頼してきたときには、そんなことは夢にも思いませんでした。けれど、よく考えてみると、人物と話の構成には確かに比較できるものがありますね。私たちが目指したものは、『インドシナ』同様、とてもロマンティックな物語を通して、ひときわ劇的な歴史の一時代を浮かびあがらせることにありました。しかし『インドシナ』ははっきり寓意的だったのに対して、『イースト/ウエスト』は事実に基づいているという点が違います。私自身は、サーシャという人間が大好きです。泳いで逃亡する若いロシア人なのですが、彼は真に“英雄的な”人物です。ちょうど『インドシナ』でヴァンサン・ペレーズが演じた若い中尉のように。それぞれの作品を見ていくと、確かにいつもレジス・ヴァルニエのロマンティックで濃密な世界がありますね。私の好きな世界です。確かに私たちは同じ類の話が好きなのかもしれません」

−−泳いで逃亡する若い男の話は事実に基づいているのですか?

「もちろんですよ。このような形で逃亡した人は山ほどいます。常軌を逸しているように思うかもしれませんが、まったくの事実です。グルジアからトルコの海岸まで泳いだ人さえ何人もいるのです」

−−ロシア側との共同作業はどのようなものでしたか?

「とてもうまくいきました。ロシア側の協力がなかったら脚本の調子はより暗く、もっと単純な善悪対立になっていたでしょう。ロシア側の人たちは、それぞれの子供時代の思い出を掘り出して、脚本の暗黒時代の再現に、生気と、ほとんど温かいといってもいい側面を与えてくれました。セルゲイ・ボドロフは主人公夫婦の子供セルゲイに完全に自分を投影させました」

−−重要な不一致というものはなかったのですか?

「もちろんありましたよ。ロシア側の人たちは、私たちほどにはドラマの構築を気にかけないのです。それに、彼らはあの時代に対して言いたいことをはっきりと持っていますし、深く関わっているのですからね。だから、共同アパートの典型的な住人たちの生活を、日々の出来事を通して、事細かに描こうとするのです。脱線していくのを気にもしないでね。一方、レジスと私ははっきりとひとつのドラマを語ろうとしました。ルスタム・イブラギムベコフが創り出した人物のことを覚えてますが、私はそのキャラクターが大好きでした。ブルガコフ(20世紀前半のソ連の作家。検閲で作品が発表できず、1960年代に西側で発表され、評価された)風のヒーローなのですが、割愛せざるをえなかったのが本当に残念でした。しかし、映画なのですから、ある特定の時間以上のものを作るわけにはいきません」