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ロカルノ映画祭でオープニングを飾り、騒然とした話題を巻き起こしてのフランス公開ではいきなり50万人の観客動員を記録。セザール賞では作品賞を始め、主要4部門で候補となったほか、アメリカでも外国語映画としては異例のロングランとなり、ウディ・アレンがその年のベスト・ムービーの1本に挙げるなど、本格的歴史ロマン大作として国際的な注目を集め、アカデミー賞&ゴールデン・グローブ賞の外国語映画賞にノミネート。中でもロシアでは『タイタニック』の動員記録を塗り替える大ヒットとなった。
およそ10年にも及ぶ歳月の中で、自由を求めて闘い、愛に揺れ動くヒロイン、マリーを演じるのは、『仕立て屋の恋』『ジャンヌ』などで、演技派女優としての評価を欲しいままにするサンドリーヌ・ボネール。意外なことに、このようなドラマティックな大河ドラマへの出演は本作が初めてだが、喜びや哀しみ、希望や絶望、別離と孤独など、めまぐるしく変化するマリーの感情のひだを、時に繊細に、時に力強く演じ、新境地を開いたと絶賛された。幅広い観客層からの支持を受け、新作『マドモワゼル』ではフランス初登場1位を記録するなど、ますます円熟味あふれる魅力を放ち、確実に大女優の階段を駆け登っている。
対する、夫アレクセイは、思いもかけない現実に押し潰されそうになりながらも、愛する妻と息子を守るため、エリート医師として体制に従い、妻子の脱出の機会を窺う。しかし、彼のそんな深謀遠慮が、妻には裏切り行為と誤解されてしまう。『太陽に灼かれて』『シベリアの理髪師』で知られるロシアの名優オレグ・メンシコフがこの難役に挑戦。10年間に及ぶ偽りの自分を、「僕たちの愛に終わりはない」と、マリーへの無償の愛へと結実させ、ラストで見せる涙を浮かべた穏やかな微笑は、それゆえにいっそうの感動を呼ぶ。頑なだった仮面が氷のように溶けて垣間見せる素直な男の本心は、全世界の女性たちの母性本能をくすぐらずにはおかない。
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