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物 語 1903年、ローマ近郊のウゴリーニ宮。貧しいが、聡明な美貌の女性シャーロット(ユマ・サーマン)は、かつての恋人アメリーゴ公爵(ジェレミー・ノーザム)から、“アメリカで最初の億万長者”といわれるアダム・ヴァーヴァー(ニック・ノルティ)の愛娘マギー(ケイト・ベッキンセール)と婚約したことを告げられる。かつてローマの貴族として、コロンブスと航海した由緒正しい先祖を持つアメリーゴ公爵だが、今は破産し、すっかり没落してしまっていた。その意味でも、美術蒐集家として名高いヴァーヴァー氏を義父に持つのは、理想的だったのだ。そしてアメリーゴは、すっかり寂れたこの屋敷で、義母と息子の関係で不義密通し処刑されたルネッサンス時代の先祖の話をする。シャーロットはマギーとも幼なじみの親友だったが、彼女には自分たちの別れを素直に受け入れることができず、アメリーゴのことを忘れるためドイツへ旅立つのだった。 ところが、結婚式の3日前になって、ロンドンのヴァーヴァー氏の屋敷にシャーロットが現われた。思いがけない親友の到着を無邪気に喜ぶマギーだが、彼女にはシャーロットとアメリーゴのかつての恋愛関係を知るよしもなかった。ふたりの結婚の仲介人となったファニー(アンジェリカ・ヒューストン)もまた、マギーを“汚れから守るため”に、あえてその事実を打ち明けずにいたのだ。 シャーロットはアメリーゴに「結婚する前に、もういちど一緒にいたかったの」と囁いて、マギーへの結婚祝いを探すのに付きあわせる。ふたりはブルームズベリーにある小さな骨董品店で、水晶に金箔を施された“金色の盃”に目を留める。シャーロットは、店主(ピーター・エア)に取り置きを頼むが、アメリーゴはその盃にヒビが入っているのを一目で見抜いてしまった。 それから2年後。イギリスのフォーンズ荘では、アメリーゴとマギーの間に男の赤ん坊が誕生していた。幼いころ、母を亡くし、父の愛を一身に受けて育ったマギーは、自分が結婚したことで、ヴァーヴァー氏を見捨てたような罪悪感を抱いていた。この父娘は、他人にはにわかに立ち入れないような緊密な絆で結ばれていたのだ。 そんなある日、シャーロットが一家を訪ねて来た。アメリーゴのホームシックを気に病むマギーは、父と息子をシャーロットに託し、改装中のウゴリーニ宮に行くことにする。こうしてふたりきりになったヴァーヴァー氏は、シャーロットに自分の莫大な美術コレクションを披露し、生まれ故郷の街アメリカン・シティに“労働者のための”美術館を建てる計画があることを告白するのだった。 1ヵ月後、ウゴリーニ宮にシャーロットとヴァーヴァー氏の婚約の知らせが届いた。マギーは大喜びで父と親友の結婚に同意するが、アメリーゴの態度は曖昧そのものだった。 3年後のロンドン。その美貌と人柄に相応しい貴婦人の地位を手に入れたシャーロットは、すっかり社交界の人気者として、その夜のランカスター家の仮装舞踏会でも、ひときわ華やかな注目を浴びている。しかし彼女のかたわらに立つのは、ヴァーヴァー氏ならぬアメリーゴだった。おおっぴらな義母と娘婿の関係に、ファニーは眉をしかめるが、彼女の夫ボブ・アシンガム(ジェイムズ・フォックス)は「無知な幼女を妻にしたい男はおらんよ」と意味深な台詞をはく。しかしシャーロットもアメリーゴも、それぞれの夫と妻である父娘の親密すぎる関係に、孤独を感じていたのだ。 週末のマッチャムでのパーティに出かけたシャーロットとアメリーゴは、その他愛ないどんちゃん騒ぎに次第に自制心を失ってゆく。そしてキャッスルディーン夫人(マデリーン・ポッター)に誘われるまま、帰宅の時間を遅らせ、そのまま地元の宿に姿を消した。「アダムとイヴのように堕落するのよ」。シャーロットとアメリーゴは不倫の快楽に溺れる。それぞれの配偶者には、「列車に乗り遅れた」と言い訳しながら。 |