パトリス・ルコントとの仕事はどうでしたか?
シャルロット・ゲンズブール(以下CG)「普通、役をもらったら、準備に何ヶ月もかけるのに、とても早く済んだのよ。撮影がすぐ間近に感じられるのも、とてもやりやすかったわ。パトリス・ルコントと仕事ができるということが、とにかく嬉しかったの。実はまったく面識のない監督だったけど、母(ジェーン・バーキン)が彼の『愛しのエレーヌ〜ルルーとペリシエの事件簿』で一緒に仕事をしていて、パトリスのことや、共演のヴィユレやミシェル・ブランとさんざんふざけたことや冗談を言いあったことを聞いていたの。『レ・ブロンゼ〜陽に焼けた連中』は私の好きな映画のひとつよ。とにかく馬鹿笑いできるんだもの。タイプが違うけれど、『タンデム』や『髪結いの亭主』も大好きね」
ローラは謎を秘めた女性ですが、この役を把握するのは難しくはなかったですか?
CG「今回は私が役に近づくのではなく、逆に私の方へ引き寄せたの。
ローラは狂っているわけではないの、夢想の中に生きているだけ。幾つかの点で、ある時期の私にとても似てると思ったわ。生きていることをドラマティックにしたい、別な自分を作って人を惹きつけたい、そのために架空の物語を作ってしまうの。誰でも覚えがあるはずだわ。
自分の人生が平板で、何ひとつドキドキすることがないと感じる時にね。ローラは虚言癖があるの。そういう自分を受け入れ、抑えるどころか、むしろ徹底するというわけ……。
多分、私にはあそこまでやれる勇気はないわ!でもその徹底ぶりは、彼女に勇気がある証拠よ。だから私は彼女に好感が持てたの」
具体的にはどのような役作りを?
CG「ローラについて、いろいろ演じている内に少しずつ見えてきたの。こういう役作りは私にとって多分、初めてのことだったと思うわ。
本当のところ、彼女の身元というか、どういう環境からこの女性が生まれてきたのか判らないのよ。どちらかというとありきたりの生活環境だったと彼女が言うでしょう、だから彼女の過去を探ってもあまり意味がないと思ったの。
むしろ彼女の幻想、嘘の世界を探って、ローラという女性を把握する方がずっと面白いと思ったわけ。モノクロ映画のヒロインみたいな雰囲気を想像し、ちょっと普通じゃない、ドラマから抜け出してきたようなメイクにしたりして、とても楽しかったわ。
服装もあまりキチッとした、高価なものは身につけず、かと言って古めかしいスタイルにも見られないようにしたけれど。彼女って大体あまりセンスがよくないのよ!完成された女性じゃないわけ、自分というものを上手く操れない不器用さがあるの。
年齢だって不詳に見られると思うけれど、もう若い娘ではないことは確かね。多分フェリックスが、彼女が心底魅かれた最初の男性だと思うけれど、それは初めての恋のドラマを意味しないわ。彼女には過去があるのだから」
そうですね。
たとえば歌手とはどんなことがあったのか、想像してみましたか?
CG「ええ、もちろん。
自分なりにいろいろと話を作り出して、そこからひとつの形ある彼女の過去を組み立てようとしたの。
でも、この歌手に対して、彼女が本心ではどのような感情的なこだわりを持っているのかは、誰にも良く判らないと思うのよ。
彼女の話は本当なのか、あるいは嘘をついているのか。彼女によると、フェリックスとの関係をメロドラマにしたくて、歌手の存在を利用した、それはほんの行きずりの関係、ある夜、どこかで出逢った女の子を男がひっかけたという類のものだった……。映画の最後でそう打ち明けているけれど」 |