ここでは弊社の配給作品に限らず、フランス映画界の最新ニュースをお届けします。(毎週月曜日に更新)
Report-Yuko TANAKA (PARIS)


30 SEPTEMBRE 2002

 ヴァンサン・カッセルがフランス史上に残るテロリストのジャック・メスリンを演じることを承諾した。1979年にパリの路上で射殺されたこの人物は2冊の伝記を残しており、若きプロデフューサーで元俳優のトマ・ラングマンの経営する製作会社LA PETITE REINEがその権利を取得。その時点で既にヴァンサンをイメージしていたそうで、彼の了解が映画化実現の絶対条件だったとか。監督の方ははまだ決まっていない。同製作会社はヤン・クーネン監督の大作でやはりヴァンサン・カッセルが主役を演じる『ブルーベリー』“BLUEBERRY”を始め10本近くの新作の予定があり、この伝説的テロリストがスクリーンに登場するのはまだまだ先。撮影は2003年末に開始予定。

 1995年の初監督作品「ブレイブ・ハート」がオスカーを座旋したメル・ギブソンが、キリストの最後の12時間を描いた“ THE PASSION”を監督することが明らかになった。そしてそのキャスティングの内、娼婦から改心したマグダラのマリア役をモニカ・ベルッチに現在交渉中。しかしこの作品、ラテン語とキリストが使っていたと言われるアラメン語で撮影されるという意欲作!そのせいか、アメリカの大手配給会社はどこも手を出したがらないという問題も抱えている。撮影は10月4日にイタリアでスタートする予定だが…。しかしギブソン監督、前作でもソフィー・マルソーを起用していることから、ハリウッド女優よりヨーロッパの女優の方が好みなのかも…。

 パトリス・ルコント監督の新作『列車の男』で名優の実力を発揮したジャン・ロシュフォールが、パスカル・トマ監督の新作『大きなアパートメント』“UN GRAND APPARTEMENT”に主演する。その他の出演者には常連ヴァンサン・ランドン、監督としてフランス映画祭に現れたザブー・ブライトマン、アリエル・ドンベール、若手有望株のセシル・ド・フランスと楽しみなメンバー。作品の内容は明らかにされていないが、同監督が得意とするほのぼのコメディであることは間違い無しでは?製作はアラン・サルド、撮影は9月末にスタートし、パリとフランス南西の山間に位置するオーシュ市で行われる。

 近年、アメリカでの活躍が目立つオリヴィエ・マルティネツに、またまたハリウッド映画出演のニュース。しかし今回キャスティングされたのは、70年代の人気テレビドラマの映画化である“S.W.A.T”。サミュエル・J・ジャクソン、コリン・ファレルと共演する、製作費7000万ドルのまさにスーパープロダクション。彼が演じるのは麻薬取り引きの立役者。S.W.A.Tと呼ばれる警察につかまり移送されるのだが、その彼の身柄を自由にしてくれる者に1億万ドル(製作費より高い!)を与えると申し出たことから、話は複雑に…というストーリー。撮影は10月スタート、全米公開は2003年5月の予定。しかしオリヴィエ君、フランス映画出演のニュースは全く出てこない。もうこっちに戻る気はない?

 カンヌ映画祭公式出品作品の「見えない嘘」がフランスでスマッシュ・ヒットしたニコル・ガルシア監督。その彼女が1994年に起きた人身事故の原因に責任があると、リモージュの裁判所で13万ユーロの罰金の有罪判決を受けた。事件が起きたのは同地方にある村で開催されたショー。同監督が駐車禁止区域に車を止めたところ、警報装置が発動。それに驚いたニ頭の馬が逃げ出し、人身事故(死亡1名、怪我3名)を引き起こしたというもの。ちょっとした脱線が人の命を落とす事故に繋がってしまった、ちょっと恐い出来事…。

 さてこちらは1997年にブリュノ・デュモン監督の「ジーザスの日々」に主演したダヴィッド・デューシュ。現在29才になるが、この作品の後、窃盗などを続け、3ヵ月の刑務所勾留をリールの軽罪裁判所で言い渡された。その内、2000年11月には、戦後、グルエ神父によって創設された貧困者援護団体エマウスのリサイクルショップを押し入っている。審問委員長は「君には俳優としての才能があった。なぜこのようなことになってしまったんだ?」と尋ねたが、被告は何の言葉も返さなかったそう。同作品の役同様に、北フランスでアウトサイダーな日々を過ごしていた彼。この作品が彼にとって一つの契機にならなかったのは、まさに残念…。

 すっかりテレビドラマの方が気にいっている今年で67才のアラン・ドロンが、15年連れ立った32才年下のロザリーと破局したことを発表した。その理由は二人の間にできたアヌーシュカ(12才)とアラン=ファビアン(8才)の為に明らかにできないとのこと。ちなみにその二人の子供とは自身が出演している2本のテレビドラマでそれぞれ共演している。そして彼のもう一人の息子であるアンソニー・ドロンは、前妻と2001年に離婚して以来、マチルド・セニエと浮き名を流した後、現在、モデルのエステル・アリディと交際中。彼女は以前にやはり2世スターのダビッド・アリディと結婚しており、まさに2世スター好き?しかし親子揃って、ゴシップ好きを楽しませるのは得意?のよう。



23 SEPTEMBRE 2002

 ジャン=マルク・バールとジャン・レノ演じる二人のダイバーを描いたリュック・ベッソン監督のカルト的人気作品「グラン・ブルー」。その作品が今年の9月27日に初めてイタリアで公開されることになった。バールの役はフランス人ダイバーのジャック・マイヨ−ルを、レノの役はイタリア人のエンゾ・マジョルカをモデルにしているが、そのマジョルカ氏がベッソンの描写に満足せず。ベッソン側は役名をモリナリに変更したが、当のマジョルカ氏は裁判所に訴え、イタリアでの公開を阻んでいた。14年後になっての急展開は2001年12月のジャック・マイヨ−ル氏の自殺がきっかけ。ベッソン側はいくつかのシーンをカットし、マジョルカ氏は訴えを撤回した。さて有名な「ママのパスタ」発言シーンは残されているのかどうか?

 アメリカの雑誌『ピープル』が2002年度のベスト&ワースト・ドレッサーのリストを掲載した。「ソワレで最もエレガントだったスター」「チャーム・ポイントを見事に強調したスター」などのカテゴリーに分かれたこのリストのメンバーは、ほとんどがハリウッド女優。 フランスの女優からは、「アメリ」ことオードレイ・トトゥが選ばれたが、 何と彼女の名前は「ワースト・ドレッサー」のリストの中に…。同誌は、オードレイのロンドンでのある授賞式に登場した時のドレスを「シャーリ−・テンプル(1930年代のアメリカ子役スター)のワード・ロープからそのまま出てきたようなドレス」と評価した。しかし、これはやはりハリウッドはセクシー系が一番ということの証明かも…。

 「ムッシュ・カステラの恋」で2001年度のセザール賞を獲得したアニエス・ジャウイ&ジャン=ピエール・バクリのコンビがで帰ってくる!と雑誌『ハリウッド・リポーター』が伝えた。しかし『ひとつのイメージの様に』“COMME UNE IMAGE” と題されたこの作品は、このコンビに加えて、アラン・シャバ、ジェラール・ダルモンのお笑い畑が出演することが分かっているものの、脚本に関してはセドリック・クラピッシュとアラン・レネの二人の監督が執筆に絡んでいるというだけで、内容に関しては秘密裏に。撮影スタートは来年6月、公開は2003年に秋以降…ということで、フランス中を笑わせてくれるのはまだまだ先の話?

 カンヌ映画祭の常連中の常連で、世界最年長のマノエラ・デ・オリベイラ監督のまたまたの新作が発表になった。『 トーキー映画』“UN FILM PARLANT” とシンプルなタイトルのこの作品のストーリーは明らかになっていないが、国際的、しかし同監督の作品の常連からなるキャスティング。監督のミューズ、エレノール・シルベイラ、ヨーロッパでの活動が続くジョン・マルコビッチ、そしてフランスからはカトリーヌ・ドヌーブが参加。撮影は10月7日にスタート。ロケ地はポルトガル、マルセイユ、ナポリ、イスタンブール、カイロ…と元気としかいいようのないスケジュール!来年のカンヌは既に焦点に入っている?

 1998年に創設されたヨーロピアン・フィルム・アカデミーが開催するヨーロッパ映画賞は、ヨーロッパのセザール賞に値するが、知名度はまだまだ。しかし作品賞、主演男優賞、主演女優賞を一般の人たちが投票できる大きな特典がついている!今年、フランスからノミネートされたのは、作品賞にセドリック・クラピッシュ監督の『スペインの宿』“L'AUBERGE ESPAGNOLE”、フランソワ・オゾン監督の『8人の女たち』“HUIT FEMMES”が、そして男優、女優部門にはシネマパリジャン配給の『リ−ド・マイ・リップス』(ジャック・オーディアール監督)のヴァンサン・カッセルとエマニュエル・デュヴォスのコンビから、ファニー・アルダン、イザベル・ユペールなどのベテランが名を列ねている。日本にまだ未上陸の作品も多いが、まずはヨーロッパでの評価を知るチャンスかも。今年の授賞式は12月7日にローマで開催される。投票先はhttp://efa.tiscali.com

 今年前半8ヵ月の結果は先週お届けしたが、それに先立つ2001年度の最終結果が国立映画センターCNCから発表になった。まず年間動員数は1億8600万人で2000年度から12.2%のアップ。しかしその半数は95県の内14県に集中しており、映画鑑賞はまだまだ都会に住む人のレジャー。複合映画施設は2186もあり5241スクリーンを所有するが、1650の共同体のみに存在し、フランス全体の共同体の4.5%にしか至っていない。つまり5万人以上の住民が住むすべての共同体にはこれらの施設が存在するが、1万人以下の共同体には2.9%のみ。そして約2年半前に導入された物議をかもし出した映画館チェーンの会員カードはパリだけを例外に大きな影響を与えておらず、全体動員数の5.9%、1100万人のみだが、カードが通用する映画館では22%をマークしている。さて、国内外をあわせてここ数年のフランス映画は好調で、製作費用総額は10年前の2倍に膨れ上がっているが、プロフェッショナルの間には製作費の確保に不安を抱いているとの調査結果もCNCから発表されている。特にプレッシャーがかけられているのは、中レベル予算の作品。しかしこれらの作品群は商業性だけを狙わず、良質な内容のものが多いことも確か。 CNC側はこの問題を解決すべく様々な策を提案している。



16 SETEMBRE 2002

 シャルロット・ゲンズブールがメキシコ人監督のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(「アモーレス・ペレス」)の新作“21 GRAMS”に主演することが明らかになった。一人の女性と元詐欺師で浮気性の夫の肉体的な愛と感情的な愛を描いた物語で、夫役を演じるのはショーン・ペン!そして共演にはベニチオ・デル・トロ、「マルホランド・ドライヴ」以来、引っ張りだこのナオミ・ワッツと、フランス映画ファンでも嫌が応でも興味のそそられるメンバーでは!?彼女にとってはこれが本格的なアメリカ映画出演になるが、でもやっぱりパリを舞台にフランス語を話すのも忘れないで欲しい!撮影は11月にスタートする。

 その夫婦役をつとめる二人が9月10日から11日にかけての夜にシャンゼリゼのレストランにやってきた。理由は…9月11日のテロの犠牲者に一分間の沈黙を捧げるため。このレストランはショーン・ペン自身が経営者で、今週公開されたオムニバス“11'09"01 SEPTEMBER 11”の監督の1人でもある彼の発案でこの追悼式が行われた。シャルロットは旦那様イヴァン・アタル、ショーン・ペンは愛妻ロビン・ライトと連れ立って現われた。その他、クロード・ルルーシュ監督や、ヴァレリー・ブルーニ=テデスキ、ピーター・コヨーテなど映画界の著名人が参加した。

 アメリカでリメークされたコリーヌ・セロー監督「赤ちゃんに乾杯」の続編になる『 18年後』“ 18 ANS APRES”のニュースは以前にお伝えしたが、現在来年2月のフランス公開を待つばかり。なんとこの続編にもアメリカ版リメークが決定した。製作するミラマックスによると、もちろんトム・セレックら主演の3人は変わらず。ストーリーはアメリカン・テイストをふりかけたものになる…とのことだが、しかしリメークはリメーク。ここまでくると、ちょっとオリジナリティ−がなさすぎる気もしないではないが…。

 アメリカはロス・アンジェルスに渡って久しいジュリー・デルピーが現在、全曲自分で作詞作曲した初のアルバムのレコーディング中であることを明らかにした。本人も自身の新境地開拓にびっくりしているぐらいで、その理由としてアメリカの人気テレビドラマ“URGENCY”に出演したことが違った分野にも挑戦するきっかけになった、と語っている。そしてその後は彼女自身が脚本を執筆した新作の撮影に入るそうで、まさにマイペースな忙しさ。フランスでは来月10月に彼女が以前にアメリカで監督した作品“LOOKING FOR JIMMY”が公開に。この1時間20分の作品はアメリカの俳優を使い、全編デジタル・ビデオで24時間の撮影で作り上げた、彼女曰く「小さな作品」だとか。まずはこの作品でニューヨーク大学の映画科で学んだ彼女のお手並み拝見?

 ヴェネツィア映画祭と時期を同じくしてフランスのド−ヴィルで開催されていたアメリカ映画祭。ここに登場したシルベスター・スターローンが来年1月に公開される『TAXI 3』にスポット出演していることを明らかにした。今回は小さな役だそうだが、なんと今後、ベッソン製作作品でロッキー、ランボーに続く新たなキャラクターを生み出す話をしたことも暴露。現在56才の彼が新たなヒーロー?と心配になりそうだが、日々の体力トレーニングは欠かしていないそうで…そこは安心?さあ、いかにもアメリカンな彼がフランス1アメリカ人に近い男ベッソンにどう料理されるのか…。

 フランス国立映画センターが2002年前半8ヵ月の動員結果発表した。そのデータによると、全体の観客動員数は昨年の1億2080万人から1億2490万人と3.4%アップ、8月末から12カ月遡ったデータでは8.5%もの上昇を記録。しかしフランス映画のシェアは残念ながら43.3%から36.5%にダウン。対するアメリカ映画は47%から51.9%に挽回した。後半4ヵ月には是非フランス映画に挽回してもらいたい所だが、アメリカ勢は「マイノリティ・リポート」「ハリー・ポッター」「」など強力ライバルが目白押し…。



9 SEPTEMBRE 2002

 9月8日日曜日、第59回ヴェネツィア映画祭が幕を閉じた。我らがパトリス・ルコント監督の「列車の男」は下馬評で人気は上々。プレス試写、公式上映ともに拍手に包まれ、翌日のイタリアの日刊紙 は揃って賛辞の言葉を掲載。直前情報では日刊紙LA REPUBBLICA、映画専門誌CIAKなどで金獅子賞候補に上がり、あのロイター通信までもが金獅子賞最終有力候補5本に選んで世界に配信。それと同時にジャン・ロシュフォールは主演男優賞の呼び声が最も高かっただけに、残念無念!しかし一般観客が選ぶ最優秀作品賞と最優秀男優賞の2冠を見事ゲット!観客に愛される作品を作り出すルコント監督&ロシュフォールのコンビの力量が証明されたことに。ちなみに金獅子賞に輝いた“THE MAGDALENE SISTERS”はケン・ローチ作品の俳優でお馴染みのピーター・ムランの初監督作品。60年代のアイルランドを舞台に監獄のような修道院に暮らす少女たちを描いた作品で、批評家受けは良かったものの、ヴァチカン初めイタリア右派日刊紙にはこてんぱんに叩かれた作品でした。これも含めてコンチャロフスキーや韓国映画など、障害を持った主人公を扱った作品が受賞作のほとんどを占めたのは何故!?

VENEZIA 59部門
金獅子賞:“THE MAGDALENE SISTERS”(ピーター・ムラン監督/イギリス)
審査委員特別賞:『精神病院』“DOM DURAKOV”(アンドレイ・コンチャロフスキ監督/ロシア・フランス合作)
監督賞:“OASIS”(リ−・チャンドン監督/韓国)
個人特別貢献賞 エド・ランチマン(カメラマン)*“FAR FROM THE HEAVEN”(トッド・ヘインズ監督/アメリカ)の撮影に対して
最優秀男優賞:ステファノ・アコルジ(『愛と呼ばれる旅』“UN VIAGGIO CHIAMATO AMORE”ミケル・プラチド監督/イタリア)
最優秀女優賞:ジュリアン・ムーア(“FAR FROM THE HEAVEN”トッド・ヘインズ監督/アメリカ)
マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人俳優賞):ムーン・ソリ“OASIS”(リ−・チャンドン監督/韓国)

CONTROCORRENTE部門
サン・マルコ賞:『小さな街の春』“XIAOCHENG IN A SMALL TOWN”(チアン・ジュアンジュアン監督/中国・香港・フランス合作)
審査委員特別賞:「六月の蛇」(塚本晋也監督/日本)
特別賞:『色欲の処女』“LA VIRJEN DE LA LUJURIA”(アルトゥーロ・リプスタイン監督/スペイン・メキシコ・ポルトガル合作)、『公衆便所』“RENMIN GONGCHE”(フルーツ・チャン監督/香港・中国・韓国合作)


ドヌーブとT.マーシャル監督


ルコント組




 9月2日に閉幕したモントリオール映画祭でソフィー・マルソーの初監督作品『語ってよ、愛の言葉』“PARLEZ-MOI D'AMOUR”が監督賞を受賞した。コンペティション参加作品はなんと43本。国際色豊かなライバルたちを蹴落として(?)の受賞はこれが長編第一作めにしては大快挙といえるのでは?これで本作のフランス公開10月9日が俄然楽しみに。また同映画祭では息子ギョ−ムと共演した『父を愛せ』“AIME TON PERE”(ジャコブ・ベルジェ監督)が上映されたジェラール・ドパルデューがケベック国家騎士勲章を受賞した。

 ダニエル・オートゥイユとジョゼ・ガルシアの二人がピエール・サルバドーリ監督の新作『神経過敏』“A FLEUR DE PEAU”で共演することに。脚本の内容はほとんど明らかになっていないが、同監督が得意とする純粋なコメディになるのは確かな様。撮影は10月にパリでスタートする。しかし、このダニエル・オートゥイユ。現在公開中の「見えない嘘」のようなシリアスものから、撮影が終了したばかりの歴史アクション『赤いドラゴン』“DRAGON ROUGE”(ヘレーヌ・アンゲル監督)、そして出身のコメディと全く何でも来いといった感じ。きっともうすぐ第2のドパルデューになるのも近い?

 今年のカンヌ映画祭で新作“AND NOW… LADIES AND GENTLEMEN”が閉幕上映されたクロード・ルルーシュ監督が次回作の準備にかかっている。そのタイトル『幸せは人生より素晴らしい!』“LE BONHEUR, C'EST MIEUX QUE LA VIE!”は、昨年亡くなった俳優フィリップ・レオタール氏が故人の長い闘病生活中に面会に訪れたルルーシュ監督がこの作品のストーリーを聞かせた時に叫んだ言葉だとか。同監督はこの作品の中で故人に重要な役を与えるつもりで、葬儀の際にはこの言葉を記した花輪を捧げたとか…。

 1978年に感電死した歌手クロード・フランソワは定期的に回顧番組が放映されるほどの国民的スターだったが、その派手な衣装と躍りでそっくりさんが一杯いることでも有名。その彼にまつわる作品が2本上がっている。まず、ヤン・モワ監督による『表彰台』“PODIUM”は、まさに一つの現象ともいえるこのそっくりさんたちを描いた作品。その一人をシニカルな笑いならまかせて?のブノワ・プールボールドが演じることに。そしてアントワーヌ・ド・コーヌ監督は本人自身の人生の映画化を準備中。そしてなんとクロクロ(クロード・フランソワの愛称)を演じるのは…ジェレミー・レニエ!たしかに二人とも金髪だけど…。さあ、一体どっちがこのカリスマ(?)歌手になりきるか?

 ジャン=ピエール・ジュネ監督の「アメリ」のおかげで人気観光スポットと化したモンマルトルのカフェ、LES DEUX MOULINS が7月初めに売却されていたことが明らかになった。それで広がった噂が「ファースト・フードになってしまう?」「流行りのモード系カフェになってしまう?」。そこで元オーナーのクロード・ラべ氏が今回の売却は隠居に入るためであり、カフェの雰囲気が失われないことを前提にしていることを明らかにした。次のオーナーの名前は明らかにされてないが、案外、「アメリ」ファンか関係者だったりして?最近ではやはり映画の舞台となったサン・マルタン運河の北ホテルが取り壊しの危機にあったが、映画監督を中心とする反対運動のおかげで難をまぬがれたケースがある。

 フランス映画の海外振興を担うユニフランスが2001年度の結果を発表した。まずフランス映画の海外動員総数は6250万人。そのうち、「キッス・オブ・ザ・ドラゴン」のように英語で撮影されたものは2500万人、フランス語の作品は3740万人で昨年比から125%のアップ!国別ではヨーロッパが全体の64%を占めており、イタリアが690万人、ドイツが555万人をマーク。その他、北米は19%、アジア諸国が10%、南米が6%を占めている。作品別では「アメリ」が975万人動員で堂々の1位を獲得、続いて「クリムゾン・リバー」が440万人、「ジェヴォ−ダンの獣」が380万人、「メルシィ!人生」が330万人、「TAXI 2」が140万人、「ピアニスト」が110万人、「YAMAKASI」が100万人と続いている。ちなみに全体の興行収入は3億ユーロとなる。



2 SEPTEMBRE 2002

 世界で最も古い歴史を持つべネツィア映画祭が8月29日に開幕した。お隣イタリアでの開催にも関わらず、今年、フランスのメディアが例年より大騒ぎしているのには立派な理由が。フランス映画の出品作品数、審査委員としての参加はもとより、カトリーヌ・ドヌーブという世界一有名なフランス女優、「アメリ」で世界重を虜にした新星オードレイ・トトゥの二人が現われるだけではなく、フランスでもっともコレクターが多く、その出で立ちを真似る信奉者が絶えない大スター、ジョニ−・アリディがパトリス・ルコント監督の新作と共にヴェネツィア入りするから。現在、歌手業を休んで映画に専念しているので、フラストレーションのたまったファンにはたまらないプレゼントとなるのだ。特に今作では名優ジャン・ロシュフォールとがっぷり組み、ひけを劣らず演技を見せている。さあ、ジョニ−のそっくりさんはヴェニスまで表れるか?
また、フランスの勢力に負けじと、イタリア最後の大物女優ソフィア・ローレンが、息子で監督のエドゥアルドとともに開幕式に出席。ソフィアVSドヌーブの一騎討ちも野次馬の好奇を煽るのに一役かっているようだ。



 そのオードレイ・トトゥがアモス・コレック監督の新作“NOWHERE TO GO BUT UP”に主演することが明らかになった。彼女が演じるのは女優になることを夢見てニューヨークにやってきたフランス人の女の子。家もない彼女が住み着いた場所の向かいに住むひねくれ者の小説家との交流を描いた物語で、作風は「ファストフード・ファストウーマン」のようなハッピー・コメディになるとのこと。「アメリ」で国際的に人気者になった彼女にとって、これが初のアメリカ映画出演で、舞台をパリのモンマルトルからニューヨークに移すことに。さて、コレック&オードレイ組がどんな夢を見せてくれるか楽しみ!

 アルノー・デプレシン監督が、このコーナーで8月12日付けでお知らせしたテレビ用新作に引き続き、数ヵ月間、準備を整えていた劇場用新作『王様と王女』“ROI ET REINE”の撮影に9月から入ることになった。2月にこのニュースをお届けした時にはまだキャストが発表されていなかったが、主演は先週、初監督作品についてお届けしたバレリー・ブルーニ=テデスキと、これまた引っ張りだこのマチュー・アルマリックに決定。バレリーはこれが同監督作品初出演、マチューは『歩哨』“LA SENTINELLE”、「そして僕は恋をする」に続きこれが3作目となる。

 さて、こちらは3月18日付でお伝えしたクロード・ミレー監督の新作。その『小さな二ーナ』“LA PETITE NINA”の撮影が8月26日にスタートした。早々と出演が決まっていたニコル・ガルシア、ジャン=ピエール・マリエルに加え、若手からはロバンソン・ステヴナン、ルディヴィヌ・サニエ、ジュリー・ドパルデュ−、中堅としてはベルナール・ジロドー、そしてミッシェル・ピコリと大御所まで、これまた「よくもここまで!」といえる充実したメンバーが揃った。特に今年のセザールをとった期待の新人ロバンソン・ステヴナンが重要な鍵となるよう。撮影地はイル・ド・モワンという田舎。そこにこれだけのスターが集まるなんて!

 特異な作風にも関わらずフランスでは一定の評価を受けているチリ出身の監督ラオル・ルイズ。ラテン女優のサルマ・ヘイック主演作の監督に抜擢されながらも、彼女との芸術的観点の違いから降番、やっぱりフランスのいつもメンバーのところに帰ってきた。新作『あの日』“CE-JOUR LA”に出演するのエルザ・ジベルスタインとまたまたミッシェル・ピコリとベルナール・ジロドー、製作はパオロ・ブランコとまさに気のおけないメンバー。やっぱりこの監督はフランスの水が合う?撮影は10月にスタートする。

 ジュレミー・レニエ(「イゴールの約束」)が新学年スタート!の9月2日から新作『組織』“ORGANISATION”の撮影に入る。彼が演じるのはある組織で若きコンサルタントを勤める青年で、彼がもつ理論がどんどん崩れ去っていくのにぶち当たる…というストーリーで、心理的な演技が要求されるのでは?共演にはローラン・ルカ、メガホンをとるのはテレビドラマやドキュメンタリーを監督後、これが初劇場作品となるジャン=マルク・ム−。

 パリの変態映画大好き(ごめんなさい!)大集合で人気の高い『エトランジュ・フェスティバル』“ETRANGE FESTIVAL”。SF、オカルト、H系などちょっと変わった映画ならなんでもOKのこの映画祭が今年10周年を迎えた。日本からは三池崇史監督の『殺し屋1』がオープニングを飾り、日活ロマンポルノの小沼勝監督の作品が特集され、塚本晋也監督は常連…とこのメンバーだけで大体の雰囲気はご想像通りだが、なんと今年の目玉の一つは「ジャン=ルイ・トラティニャン特集」!60年代に出演したコメディやマカロニ・ウエスタンから、彼自身が監督した『充実した1日』“UNE JOURNEE BIEN REMPLIE”、『水泳指導員』“LE MAITRE-NAGEUR”のニ本も上映に。しかしこの監督作品、有名な俳優は出ておらず、実験的な編集方法、そしてシニカルな笑い…と人気俳優の作品とは思えない野心的?な内容なのだ。確かに「カトリーヌ・スパークの女性上位時代」でコメディの才能は証明済みだが…。この映画祭、監督が来場し舞台挨拶することで有名だが、トラティニャン氏は…やっぱり登場せず…。

 長いヴァカンスも終わったフランス。スターたちも恋人や家族たちとのんびり…と思いきや、大物カップルのジェラール・ドパルデューとキャロル・ブーケに危機!と写真週刊誌ヴォワシが伝えた。同誌によると地中海の小島でヴァカンス中だった二人が口論、その後、ドパルデュー氏は予定より数日早く同島を離れ、パリに戻ってラプノー監督の新作の撮影現場に合流。対してキャロル・ブーケは一人で迎えた誕生日に髪をベリー・ショートにばっさりと切り、何かを吹っ切った様子…とのこと。ドパルデュー氏はその直前にイタリアで若きテニス・プレーヤーといちゃついている所を報道されており、これが原因の一つとも考えられている…。しかしこの手の週刊誌のいうことはどこまで信じていいやら?なので、もう少し動向を見守った方がよさそう。

 監督業以外ばかりに精を出しているリュック・ベッソンがまたまた新しい事業に挑戦。彼が製作、脚本を担当した作品『運び屋』“LE TRANSPORTEUR”(コーレイ・ユーアン監督)のサントラに参加している女優のナディア・ファレス(“クリムゾン・リバー”)のアルバムをプロデュ−ス、9月に発売されることに。これを機会に彼が音楽業界に手を出していくのは必至?先日開催されたモントリオール映画祭で「ヨーロッパのスピルバーグ」と称されたベッソン氏。そしてこの『運び屋』はまず9月13日に全米公開、フランスは続いて10月23日と、もう視野は完全に世界規模。彼がフランス…いやヨーロッパ人だということを忘れる日は遠くない?