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きみは、こんな風に思ったことはない? 父さんって、どうしていつもあんなに偉そうなんだろって。 家族の事は、いつも父さんに決定権があって、 ぼくの将来のことだって、学校のことだって、なんでも父さんが決めちゃう。 本当は、ぼくにだってやりたいことがいっぱいあるのに。 でも怖いから、だまってる。 口答えなんて、絶対に許されないんだ。 だから、時々すっごく反発したくなる。 場合によっては、“こんなオヤジ、死んじゃえばいいのに”って考えちゃうこともあるよ。 いけないことだって分かっているけど、ついつい考えちゃうんだ。 ぼくはそういう男の子。 ほら、きみと一緒だろう? なにも特別に変わった子じゃない。 どこにでもいる男の子さ。 この映画は、そんなぼくの物語。 ある冬の数日間に起きた、本当におそろしい物語なんだ。 |
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12歳のニコラは、どんなクラスにも必ず1人や2人はいるような、ちょっとだけ内気な男の子。彼のお父さんは医療器具のセールスマンをやっている。ニコラのことをとても愛しているお父さんだ。でも、ときおりその愛が、ニコラには重荷になっている。クラス全員参加のスキー合宿がはじまって、当然、ニコラも参加することになった。でも、級友たちは一緒にバスで宿舎まで向かうのに、ニコラのお父さんだけは、途中でバスが事故を起しかねないと心配して、自分の車でニコラを送り届ける。綺麗なグリム先生があんなにバスで行くことをすすめていたのに……みんなはニコラのこと、どう思うだろう。ニコラのお父さんのこと、どんな風に思っているのだろう……。 ニコラには、もうひとつ心配の種があった。それは今も治らない“おねしょ”。みんなが寝静まった夜も、ニコラだけは眠らなかった。眠らないで、お父さんが話して聞かせてくれた、子供の臓器売買をしている遊園地の職員の話や、「猿の手」という有名な怪奇談を思い返していた。怖くて眠らなければ、“おねしょ”の心配だってしなくていいからね。そんなニコラの気持ちを察してか、やさしいパトリック先生は、願いが叶うとちぎれるという紐の腕輪(ミサンガー)をプレゼントする。ニコラは“おねしょ”のこと、願をかけるのかな。 そんなある日、ショッキングな事件が起きる。ニコラとおなじ年頃の少年が、宿舎の近くの森の中で死体で発見されたのだ。この事件をきっかけに、ニコラの想像は度を超して、本当に恐ろしいイメージが頭の中を渦巻くようになっていく……いつのまにか棺桶に入れられて、誰も自分が生きていることに気付いてくれない……お父さんがニコラを迎えに来る途中、自動車事故で死んじゃった……雪山にひとり迷いこんで、なぜか宿舎のドアの鍵が内側からかけられている……もうニコラは、自分の想像が夢か現実かの区別さえつかなくなってきてしまった。そして事件は意外な結末を迎える……。 |